ごあいさつ
2014年8月より、分子機能学・代謝機能学講座(旧 生化学第1講座)は、久場研究室として新たなスタートを切りました。当講座は1970年4月の秋田大学医学部の開学時に生化学第1講座として設置され、奥原英二 初代教授、1992年9月からの杉山俊博教授のあとを継いで、私で3代目となります。秋田の地から、良い医学教育、質の高い医学研究を発信し、優れた医師、医学者の育成に貢献できるよう日々励んでいきたいと思います。
循環器疾患は世界における死亡原因のトップであり病態発症機序の解明、治療法の開発、疾患予防法の確立が多く望まれています。私達の研究室では、心臓の機能制御、心不全の病態解明の観点からRNA制御、シグナル伝達、エネルギー代謝の根源的な分子メカニズムの解明を目指して研究を進めています。ゲノム編集、遺伝子改変マウスの作製と解析、細胞生物学的な解析、試験管内での生化学的実験システム、生命データの包括的解析手法を組み合わせて生命現象や疾患病態を多面的・多階層的に解析することによって、病態メカニズムや未知の生命原理を解明し、それに基づいた治療薬の開発、さらに病態や治療を予測するシステムの構築を目指しています。研究テーマとしては、生体の恒常性維持、特に心臓の機能維持におけるRNA制御因子CCR4-NOT複合体の分子機能、ペプチドリガンドのシグナル伝達、エネルギー代謝制御の役割の解明を目指しています。将来的には、心疾患のみならず癌や感染症など幅広い疾患の治療法開発につながるように貢献していきたいと考えています。
私達の研究室は生化学教室として学部講義、大学院講義を担当していますが、医学部出身者だけでなく他大学、他学部の学生も受け入れます。学生さんには生化学、分子生物学、細胞生物学の考え方や手技を幅広く実践的に学ぶと同時に,活発な議論を行いながら研究に主体的に取り組むことで、論理的思考力や実行力をつけられるよう指導していきたいと考えています。医師や研究者としての専門能力を鍛錬するだけでなく、社会の幅広い分野で活躍できる人材を育成することを目標にしています。