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 Apelin is a positive regulator of ACE2 in failing hearts.
Sato T, et al. Journal of Clinical Investigation. 123: 5203-11, 2013.

 
 私達はApelin遺伝子欠損(KO)マウスの心臓において、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の発現レベルが著しく低下していることを見出しました。Angiotensin IIの1型受容体(AT1R)とApelinの二重遺伝子欠損マウス (AT1R/Apelin double KO)を作製したところ、圧負荷のApelin KOマウスにおける心機能低下はAT1R/Apelin double KOにおいて有意に改善され、ACE2の発現上昇と相関していました。重要なことにAngiotensin 1-7をApelin KOマウスに投与したところ、Apelin KOマウスの心機能低下が改善されました。また、培養細胞での発現解析やレポーターアッセイから、ApelinがACE2のプロモーター活性を上昇させてACE2の発現を制御することが分かりました。さらに、AT1R KOマウスにApelinを投与したところ、Apelinは野生型マウスと同様にAT1R KOマウスの心機能を改善し、ACE2の発現を上昇させたことから、ApelinがAT1Rと独立にACE2を制御することが分かりました。

 本研究は、Apelinによる心機能制御の分子機構を解明する目的で行われましたが、心機能調節にかかわる新しい分子ネットワークを発見することができました。ApelinはACE2の基質であり、Apelinが心収縮力の維持に寄与することが明らかになっている一方で、Apelin系とRAS系の相互作用は不明なままでした。今回、Apelinが、AT1Rと独立にACE2の発現レベルを正に調節することが分かりました。既存の降圧剤であるAT1R拮抗薬に抵抗性の心不全に対してもApelinが改善効果を示す可能性を意味しています。同時に、Apelin系とRAS系の2つのシステムをACE2が共役させることが初めて明らかになったといえます。今後、Apelin-ACE2-Angiotensin 1-7経路が新しい治療法の開発につながることが期待されます。

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